マイクロアグレッション関連文献読書会 2024年8月活動報告
活動日|8月26日
参加人数|5名
文責|客本敦成(比較文明学)
8月は2件の研究発表をおこなった。
まず岸田月穂氏(大阪大学大学院)が、インターネット上におけるトランスジェンダーへのマイクロアグレッションについての発表を行った。トランスジェンダー当事者である動画配信者に対しておこなわれるマイクロアグレッションが、単に当事者に対する攻撃だけではなく、その配信者のファンも巻き込む形で行われることが指摘された。発表後の議論では、マイクロアグレッションが、それ以外の他のさまざまな形態の暴力や差別と重なって、重層的に作用している可能性が指摘された。
次に客本敦成が、ジュディス・バトラーの哲学とマイクロアグレッション研究の関係についての発表をおこなった。近年英語圏を中心に活発に展開されている「マイクロアグレッションの哲学」であるが、その主な関心は概念の分析と差別問題の構造的把握にある。発表者はその状況を紹介したうえで、バトラーの時間論を参照することで、「マイクロアグレッションの哲学」とは異なるマイクロアグレッション現象に対する哲学的アプローチを提案した。
なお当研究会は、現時点での研究会活動の成果の発表として、9月22日から23日にかけて行われるカルチュラル・スタディーズ学会大会「カルチュラル・タイフーン2024」にて、「マイクロアグレッションの分野横断的考察 理論研究と事例研究の観点から」と題したグループ発表をおこなう。こちらでの発表に向けて、9月は準備を進める予定である。